私は過去3年間、暗号資産のクオンツ戦略開発に従事しており、BybitのUSDⓈ-M無期限契約のリバーサル戦略を研究してきました。本記事では、API経験が一切ない方でも、Tardis APIを使って高精度な履歴オーダーブックデータを取得し、HolySheep AIと組み合わせて自動バックテストを回すまでを、スクリーンショット付きでゼロから解説します。私が初めてTardisを触ったときは「リージョン」「インクリメンタル」「スナップショット」という言葉で挫折しましたが、今では1日50万件規模のティックデータを処理できるパイプラインを構築しています。
Tardis APIとは何か?
Tardis(tardis.dev)は、暗号資産デリバティブ取引所の高頻度市場履歴データを提供する有料SaaSです。Bybit、Binance、OKX、Deribitなど20以上の取引所のオーダーブック・約定・ファンディングレート・オプション Greeks を、L2(板情報)からL3(注文単位)まで時系列で保存しています。データはAmazon S3互換のHTTPSエンドポイントまたはtardis-client Pythonライブラリ経由で取得でき、CSV / JSON / MessagePack形式で配信されます。
- データ粒度:板スナップショットは通常 100ms〜1000ms 間隔、約定(trades)はティック単位
- 保存形式:HTTP Range Request により gzip 圧縮された ndjson を部分取得可能
- カバレッジ:Bybit USDT無期限(linear)は2018年〜、Inverse USD契約は2020年〜
- 無料枠:サインアップ時にサンプルキーが配布され、1日あたり約5GBまで利用可能
向いている人・向いていない人
✅ 向いている人
- 板情報の厚みを使ったHFT(高頻度取引)戦略を検証したい個人クオンツ
- 機械学習モデルの特徴量エンジニアリングで約定フロー+板形状を使いたい研究者
- BybitのFunding Rate推移と板の歪みの相関分析を行いたいトレーダー
❌ 向いていない人
- ローソク足レベルの長期バックテストだけで十分な方(ccxtで十分)
- 月額$29以上を絶対に支払いたくないライトユーザー
- リアルタイムの約定通知のみが目的で、過去データが不要な方(WebSocket直繋ぎでOK)
ステップ0:事前に準備するもの
私はいつもこのチェックリストをチームに共有しています。すべて無料なので安心です。
- Python 3.10以上(3.12推奨)をインストール。Windowsは
python.orgから、macOSはbrew install [email protected] - ターミナル(Windows PowerShell、macOS Terminal)
- Tardisアカウント(tardis.dev でGoogleアカウントで即登録可能)
- HolySheep AI アカウント(後述、初回登録で無料クレジット付き)
- 約10GBの空きディスク(Bybit無期限1日分の板データはおよそ2〜4GB)
ステップ1:Tardis APIキーを発行する
ブラウザで tardis.dev を開き、ログイン後、右上プロフィールアイコン → 「Dashboard」 → 左メニュー 「API Access」 を順にクリックします。「Generate New Key」ボタンを押すと、tardis-xxxxxxxxxxxxxxxx 形式のキーが表示されます。このキーは再表示できないので、必ずメモ帳にコピーしてください。私はキーが漏れて年間$299のサブスクを不正利用された苦い経験があるので、AWS Secrets Managerや環境変数 TARDIS_API_KEY での管理を強く推奨します。
# macOS / Linux の場合
export TARDIS_API_KEY="tardis-xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"
echo 'export TARDIS_API_KEY="tardis-xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
Windows PowerShell の場合
$env:TARDIS_API_KEY = "tardis-xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"
[Environment]::SetEnvironmentVariable("TARDIS_API_KEY", $env:TARDIS_API_KEY, "User")