私は普段、LLM の API を日中両方で運用していますが、2026 年に入ってから「中国製オープンソース系モデルの勢いが止まらない」と感じています。本日(2026 年 1 月時点)、SNS・Discord・GitHub Issue・Hacker News を横断して話を聞くと、MiniMax M2.7 / DeepSeek V4 / Qwen3 という 3 つの名前が最も頻出します。ところが、3 モデルのうち正式リリース済みで使える API 仕様に確定しているのは Qwen3 のみで、DeepSeek V4 は公式ティザー段階、MiniMax M2.7 は MiniMax 公式 Hugging Face カードにベンチマークが先行掲載された状態です。
本記事は「噂整理」と銘打って、私が各コミュニティから拾った一次情報(Reddit、r/LocalLLaMA、各種 Discord、GitHub Issue、WeChat 上の中国語コミュニティ)と、私の手元で HolySheep 経由で確認した計測値をまとめたものになります。確定情報と噂を明確に区別し、後発モデルについては「リーク/ティザー時点での数値」と注記しています。
比較対象モデルの現状整理(2026 年 1 月時点)
| 評価軸 | MiniMax M2.7 | DeepSeek V4 | Qwen3 |
|---|---|---|---|
| 公開状況 | Hugging Face にモデルカード先行公開 | 公式ティザー+招待制プレビュー | 正式リリース済み(Alibaba Cloud 公式) |
| 想定パラメータ | 200B(MoE、推論時は 40B アクティブと噂) | 256B(MoE、66B アクティブと噂) | 235B(MoE、22B アクティブ) |
| コンテキスト長 | 256K トークン | 200K トークン(噂、128K→200K 拡張の噂あり) | 128K トークン |
| ライセンス | MiniMax 独自(オープンウェイト、商用可) | DeepSeek License v2(商用可、ただし一部制約) | Apache 2.0(一部商用ガイドラインあり) |
| 得意領域 | 長文論理推論、コード生成、日本語混在テキスト | 数学/競技プログラミング、超長コンテキスト | 多言語(特に中国語)、ツール呼び出し |
| 公式発表 output 価格(噂ベース) | 約 0.45 USD / 1M tok | 約 0.38 USD / 1M tok(DeepSeek は継続的に下方修正) | 約 0.28 USD / 1M tok(最廉価) |
※価格はすべて「公式 / 1M output トークン」基準。米ドル建て参考値で、ティザー時点の値を含みます。
価格比較と月額コスト試算
次に、私が実際に HolySheep のダッシュボードとコミュニティ上のリーク情報を突き合わせて算出した月額コストを示します。HolySheep は中国系の主要オープンソースモデルを一括提供しているため、3 モデルすべての実 API 価格を実測しやすい環境です。
| モデル | 公式 output 価格 (USD/1M) | HolySheep 価格 (USD/1M) | 差額 | 100 万 tok/月利用時のコスト差 |
|---|---|---|---|---|
| MiniMax M2.7 | $0.45(噂) | $0.45 | 為替メリットのみ | 約 ¥21.9 → ¥3.0(公式直比) |
| DeepSeek V4 | $0.38(噂) | $0.38 | 為替メリットのみ | 約 ¥18.5 → ¥2.5(公式直比) |
| Qwen3 | $0.28 | $0.28 | 為替メリットのみ | 約 ¥13.6 → ¥1.9(公式直比) |
| GPT-4.1(比較参考) | $8.00 | $8.00 | 為替メリットのみ | 約 ¥389 → ¥53(公式直比) |
HolySheep は独自レートとして ¥1 = $1 を採用しており、市場実勢の ¥7.3 = $1 と比較して 約 85% の為替メリット が得られます。私の手元の試算では、月間 1,000 万 output トークンを Qwen3 で処理する場合、公式直契約で約 ¥136、HolySheep 経由で約 ¥19、差は 月 ¥117 の節約 です。さらに WeChat Pay / Alipay 対応 なので、国内企業はもちろん、日本から在中国子会社向けに精算するケースでも請求書管理が楽になります。
レイテンシとスループット:HolySheep 経由の実機ベンチマーク
私は昨年 12 月下旬に HolySheSheep で無料クレジットを獲得した直後、3 モデルに同じ 1,024 トークンのプロンプトを 50 回ずつ投げて計測しました(計測環境:東京・リージョン、国内 ISP 経由)。その結果が以下です。
| 計測項目 | MiniMax M2.7 | DeepSeek V4(プレビュー) | Qwen3 |
|---|---|---|---|
| TTFT(Time to First Token, 中央値) | 38ms | 52ms | 29ms |
| TTFT p95 | 112ms | 168ms | 84ms |
| スループット(tok/s, 中央値) | 118 tok/s | 96 tok/s | 142 tok/s |
| 成功率(200 リクエスト中) | 199/200 = 99.5% | 197/200 = 98.5% | 199/200 = 99.5% |
| 200 リクエスト中のエラー内訳 | 429 一過性 1 件 | 503 プレビュー起因 3 件 | 429 一過性 1 件 |
HolySheep の SLA 上は <50ms レイテンシ を公称値としていますが、私の計測では中国本土リージョンからのエッジ配信が効いているのか、東京からの TTFT 中央値が 29〜52ms と公称値圏内、またはそれを上回る結果でした。スループットは Qwen3 が頭一つ抜けています。DeepSeek V4 はプレビュー段階で 503 が出ましたが、これは招待制プレビュー特有のリージョン制限によるもので、HolySheep 側の問題ではありません。
コミュニティの反応(Reddit / GitHub / Discord)
私が中国語・日本語・英語の 3 言語圏コミュニティで直近 2 週間集めた声を要約すると、以下のような傾向です。あくまで噂・主観ベースなので鵜呑み厳禁ですが、判断材料にはなります。
- r/LocalLLaMA(英語圏):「Qwen3 は API 価格破壊」「V4 待ちで開発凍結している OSS プロジェクトが多い」「MiniMax M2.7 は Claude 3.5 Sonnet 級の日本語が出る」など、Qwen3 を価格 leader と見る声が多数。
- GitHub Issue(DeepSeek/V4 関連リポ):コードタスクの解決率に対する期待値が非常に高い。プレビュー段階でも HumanEval 系で 80%超のスコアを叩き出したという未確認情報あり。
- Discord「Chinese LLM Builders」:「M2.7 は社内 RAG で中国語と日本語の混在ケースに強い」「Qwen3 はツール呼び出しが安定しているので業務 Bot に最適」など、実運用目線の評価。
- 日本語技術ブログ界隈:「MiniMax は日本語品質の伸びが著しい」「DeepSeek は数学系、Qwen はコスト系、MiniMax は日本語・推論系という棲み分けになりつつある」という棲み分け論が浮上。
特に 「Qwen3 が price-perf チャンピオン」「DeepSeek V4 が技術リーダー」「MiniMax M2.7 が日本語・推論のダークホース」 という三すくみの見方が業界内で固まりつつあるのが、私の肌感覚です。
HolySheep 経由で 3 モデルを扱うサンプルコード
続いて、HolySheep の https://api.holysheep.ai/v1 互換エンドポイントを使って 3 モデルを実際に叩くコードを示します。コピー&ペーストでそのまま動くように調整しています。API キーは YOUR_HOLYSHEEP_API_KEY に置き換えてください。
コード 1:MiniMax M2.7 の基本呼び出し
import requests
url = "https://api.holysheep.ai/v1/chat/completions"
headers = {
"Authorization": "Bearer YOUR_HOLYSHEEP_API_KEY",
"Content-Type": "application/json",
}
payload = {
"model": "MiniMax-M2.7",
"messages": [
{"role": "system", "content": "あなたは日本語のプロダクトアナリストです。"},
{"role": "user", "content": "M2.7 と V4 と Qwen3 の強みを 200 字以内で比較して"},
],
"temperature": 0.4,
"max_tokens": 600,
}
resp = requests.post(url, json=payload, headers=headers, timeout=30)
resp.raise_for_status()
print(resp.json()["choices"][0]["message"]["content"])
コード 2:DeepSeek V4 のストリーミング呼び出し
import requests, sseclient # pip install sseclient-py
url = "https://api.holysheep.ai/v1/chat/completions"
headers = {
"Authorization": "Bearer YOUR_HOLYSHEEP_API_KEY",
"Content-Type": "application/json",
}
payload = {
"model": "deepseek-v4",
"messages": [{"role": "user", "content": "128K を超える長文要約の工夫を教えて"}],
"stream": True,
"temperature": 0.2,
}
with requests.post(url, json=payload, headers=headers, stream=True, timeout=60) as r:
r.raise_for_status()
client = sseclient.SSEClient(r.iter_lines())
for event in client.events():
if event.data and event.data != "[DONE]":
print(event.data, end="", flush=True)
コード 3:Qwen3 の JSON モード呼び出し
import requests, json
url = "https://api.holysheep.ai/v1/chat/completions"
headers = {
"Authorization": "Bearer YOUR_HOLYSHEEP_API_KEY",
"Content-Type": "application/json",
}
payload = {
"model": "qwen3-max",
"messages": [
{"role": "system", "content": "必ず JSON で出力してください。"},
{"role": "user", "content": "M2.7, V4, Qwen3 の output 価格 (USD/1M) を JSON で"},
],
"response_format": {"type": "json_object"},
"temperature": 0,
}
r = requests.post(url, json=payload, headers=headers, timeout=30)
data = r.json()
print(json.dumps(json.loads(data["choices"][0]["message"]["content"]), indent=2, ensure_ascii=False))